159人が本棚に入れています
本棚に追加
しかもウチと先生の家を名前を出して。
それで向こうが断るなんて、普通はまず有り得ない。
「えっと…なら何で?」
「旅行先を変更したんですよ。お嬢様には黙って」
「なっ何で黙る必要があるのよ?」
「お嬢様だってウエディングドレス、当日まで秘密にしていたじゃないですか」
「それとこれとは意味が全く違うわよ!」
いくら秘密と言えど、候補に上がったデザイン画は先生だって見ていたはず。
それにタキシードと合わせる時、義兄からそれとなくドレスのことは聞いていただろう。
じゃなきゃ、二人の衣装がぴったり合うはずがない。
…まあ先生のことだから、わたしが何を選んだのかとっくにお見通しだったかもしれないけど。
……というより、そっちの可能性が非常に高い。
誰に何を言われなくても、先生ならば分かってくれる。
そういう安心感があったのも、確かだけれど…。
わたしは先生のことを、理解してはいなかったみたい。
今までわたしの意見を通さなかったことなんて、なかったのに…。
「じゃあどこへ行くの?」
「そうですね。そろそろ出発しましょうか」
「はいぃ?!」
もう出発? 早すぎない?
「お嬢様、ちょっと失礼」
そう言って先生はわたしをいきなりお姫様抱っこした!
最初のコメントを投稿しよう!