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先生はスーツのポケットから鍵を取り出し、扉を開けた。
「どうぞ」
「うっうん…」
中は普通の家と同じ。
「ここもペンションなの?」
「と言うより別荘ですね。私が個人的に所有している所です」
「つい最近買ったの?」
「実は1年ほど前に。この別荘が、というより別荘地自体を気に入りましてね。まあそれは明日の朝、ご説明します」
「そう」
家より土地を気に入って購入したとなると…景色がキレイだとか?
「じゃあ一週間はここで過ごすの?」
「ええ。お嬢様の身の回りのお世話は私一人でも充分ですしね」
先生は自信たっぷりに言う。
…まあ確かにわたしは家事ができない。
……と言うより、先生にやらせてもらえなかったと言った方が正しい。
先生ったら自分で何でもかんでもやりたがるから、わたしがやろうとすると怒りさえする。
いくらわたしがお嬢様だからって、やろうと思えば一通りのことはやれると思うんだけどな~。
「夕食の時間には遅くなりましたが、食事を作りましょうか?」
「ええ。お腹減っちゃった」
式の途中では新郎・新婦は料理が食べられない。
終わった後に少し軽い物を食べたけれど、一気に緊張が解けたせいか、お腹が鳴り出す。
「では食事をした後、入浴してすぐに休みますか」
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