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「うん!」
わたしはぎゅっと先生の腕にしがみついた。
こういう風に二人だけで過ごせる時間は、とても新鮮で貴重。
何だか心が浮きだってしまう。
何気ない会話をしているうちに、わたしと先生は目的地に到着した。
「うわぁ…。すっごいキレイ」
そこは何と、タンポポ畑。
見渡す限り、黄色いタンポポが続いている。
「特に誰かが手を加えたわけでもないのですが、こういうふうになったみたいです。スゴイでしょう?」
「スゴイスゴイ! さすがにここまではウチの庭師でもムリでしょう」
わたしは先生から離れて、タンポポ畑の中に入って行った。
「植物の力ってスゴイのねぇ! ホント、びっくりしちゃう!」
わたしは久しぶりに心からはしゃぎながら、タンポポ畑の中を駆け回った。
「お嬢様、そんなにはしゃいでいると、転びますよ」
「だいじょ―ぶっ!?」
「お嬢様っ!」
先生が注意してくれた数瞬後、わたしはものの見事にコケた。
「イタタ…。う~、もう若くないわね」
「まだ十八歳の女性が、何を言いますか?」
先生が呆れた表情でしゃがみこみ、手を差し伸べてくれる。
「立てますか?」
「ん~」
そこでわたしはふと、十五年前のことを思い出した。
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