姉さんのこと。

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姉さんのこと。

僕には三歳年上の姉がいた。 小学生の頃は毎朝一緒に手をつなぎながら登校したものだった。 入学したての頃は登校だけではなく、帰りも姉が僕の教室まで来てくれて一緒に帰ったのだが、学校にも慣れて友だちができるようになると、帰りは別々に帰るようになった。 それも小学三年生までの話だ。 僕が小学四年生になると姉は小学校を卒業して中学に通うようになり、一緒に登校することはできなくなってしまった。それでも、僕の通う小学校と姉の通う中学は途中までは同じ方向で、だから途中までは姉と一緒に通うことができた。 姉が中学生になって、一緒に登校する事のできる時間が半分になってしまったことに不満だった僕は、はやく卒業して中学生になりたいと思っていた。僕が中学生になればまた一緒に手をつないで登校できる。そのころはまだ中学が三年間であることを知らなかったのだ。 いよいよ小学生の卒業のときが訪れ、そして春休みに入り、勉強する必要などない春休みを楽しむのが普通なのだろうが、僕は早く春休みが終わらないかと思っていた。春休みが終われば姉さんと一緒に中学に通うことができる。     
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