富士の大あやかし

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 意外なことに、水明は特に怒ることもなく、さらりとそう言い放った。すると、銀目は虚を突かれたのか一瞬ぽかんとすると、途端に太陽みたいに笑った。 「お前、素直な奴だな。ごめんな」 「ああ」  銀目は途端にご機嫌になると、水明の頭をぽんぽん叩き始めた。 「ぐっ、痛い。止めろ、扱いが雑すぎる」 「はははー。お前、ちっこいから叩きやすいよな」 「お前がでかいんだよ……はあ」  水明は、気軽に触れてくる銀目の腕を嫌そうに払っている。  ふたりの間に流れる空気は、先ほどの緊迫感はもう欠片もなく、和やかなものに変わっていた。  ……なんだろう。男同士、通じるものがあるのだろうか。意味がわからない。  すると、金目が大きくため息を吐いたのが聞こえた。金目は、弟と水明がじゃれているのを見て、呆れ返っている。  ……うーん。男と言っても、色々とあるようだ。男心とは難しい。 「まあ、仲直りしたならいいや。ねえ、金目銀目。朝食一緒に食べる?」 「食べる!」 「……ん。いいの?」  私は大きく頷くと、ふたりを室内に招き入れた。  * 「ふあ。……おう。双子、来ていたのか」 「「お邪魔します!」」     
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