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金目銀目は、寝ぼけ眼でぼうっとしている東雲さんに元気よく返事をすると、朝食の準備の手伝いを始めた。今日の朝食は、目玉焼きにベーコン。プチトマトに、お麩を浮かべたお味噌汁。それに、真っ白な炊きたてご飯に、納豆に明太子! ほかほか、白い湯気を上げている朝食を並べて、皆でちゃぶ台を囲む。
すると、水明がどこか居心地が悪そうに、居間の隅で立ち尽くしているのが見えた。
「どうしたの? ご飯、食べようよ」
「……ああ、すまない」
声を掛けると、水明は遠慮がちに座布団に座った。その様子を不思議に思いながら、ぱん! と手を合わせる。そして――。
「「「「いただきます!」」」」
と、水明以外の全員で唱和した。何度かぱちぱちと目を瞬いていた水明は、ぼそりと「……いただきます」と呟く。そして、もそもそと食べ始めた。
「ああ、腹減った!」
水明と対照的なのが銀目だ。白米が大好きな銀目は、なんとも嬉しそうに、口いっぱいにお米を頬張った。――途端、動きが止まった。
「……これ、は」
銀目は、ぱちぱちと目を瞬かせると、勢いよく米を掻き込み始めた。金目も驚いたような表情で、お茶碗を見つめている。私は彼らの様子を確認すると、鼻高々に言った。
「実はこのお米は最高級、特Aランクなの。昨日、お肉を買いに行くついでに買ってきたのよ……!!」
「おお……!!」と言う感嘆の声が、皆の間から漏れる。
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