シロツメクサの想い

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シロツメクサの想い

「いらっしゃいませ?」 「きゃあ! 可愛い!」  ぼんやりと、ランプの灯りが照らす狭い店内。  古き良き時代の古民家を思わせるような、落ち着いた雰囲気の店内には、所狭しと和風の品物が並んでいる。アクセサリーから普段使い出来るような小物、和紙が貼られた行灯風ランプ。古びたアンティークの箪笥。額縁に入った日本画まで――この店は、「和」をテーマにした雑貨を取り揃えている。顧客は若い女性から、和物を好む老人まで幅広い。  ここは、東京都台東区にある日本一の道具街、合羽橋の路地裏にひっそりとある雑貨屋だ。創業は古く、店舗での販売の他に、取引先への卸も兼ねている。  私は、きゃいきゃいと楽しそうに雑貨を眺めているお客さんの声を聞きながら、新商品を並べていた。あと一ヶ月もすれば、東京や近郊の県では沢山の花火大会が開催される。  それに伴って、浴衣を着る時に使う小物類の需要が高くなる。かんざしや、可愛らしい鼻緒の下駄。ちょっと変わり種の巾着。ひとつひとつ、商品の()が良く見えるように飾り立て、お客さんの目につきやすいように頭を捻る。商品の売れ行きは、このディスプレイにかかっていると言っても過言ではない。     
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