Deal With The Devil

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マスターキーを営業部のカードリーダーに通すと、あっさりと解錠され、中に恐る恐る入る。すると、相変わらず騒がしい空間が広がっている。いろんな電話の着信音、電話の向こうに話しかける声、立ち話での情報交換や単なる雑談。そして広い居室。研究開発の人間は通常一日の大半を各実験室で過ごす。だから、居室も静かだし、狭い。が、営業部の活気はどこから来るのだろう、同じ会社の風景とは思えない。 「いってきます」 そういって大きいトランクを転がして何人かが居室を出て行こうとすると、 「いってらっしゃい」 と大きな声が掛かる。 そうかと思えば、外回りへ出かけていた人たちが帰ってくる。 「ただいま帰りました」 私は声を掛けた。 「おかえりなさい」 すると彼らは作業服を着た私を見てから、胸の社員証を覗く。 「へえ、研究開発からのお客さんだよ、珍しい。お嬢さん、誰探しているの?」 彼らの内のひとりが声をかけてくれた。どうも広い居室で目的の人間がどこにいるのか解らない状態でいるのが看破されているようだ。私は好意に預かり、彼に告げた。 「峯営業部長はどちらにいらっしゃいますか?」     
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