Deal With The Devil

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彼は、いや彼だけでなく周りにいた彼らも一瞬凍ったのがわかった。何故そんな対応をされるのか解らないまま、彼らは営業スマイルとかいうスキルを使って笑顔を浮かべて、言った。 「居室の中心辺りをずっとずっと奥まで進んだらいいよ。やがてラスボスが見つかるから」 そして彼らは私を置いて去っていった。 私はやがて居室探険の末、「ラスボス」を見つけ出した。その瞬間、その場で立ちすくんでしまう。 彼は役職の重さに比例した大きいデスクに長い脚を投げ出し、どう考えても支給のオフィス用の椅子ではなく、まるでプレジデントチェアのような立派な椅子にふんぞり返っていた。彼が何か紙の資料を熱心に読んでいるのをいいことに、私は彼を注意深く精査していく。 まず、スーツの上からでも解る、鍛えられた筋肉で覆われた逞しい身体が目に嫌でも入ってしまう。逆三角形を描く上半身とそれを支えるために堅牢に構えられた、けれど案外細身で、なのに上半身と釣り合う脚腰。机に投げ出された脚は長く、つま先が尖ったタイプの黒い革靴が蛍光灯の明かりを受けて光沢を放っていた。     
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