Deal With The Devil

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多分、緊張していたのが相手にも伝わったのではないかと思うくらい心臓の鼓動の速さが半端ない。私の挨拶の意図が伝わったのか、彼は脚をデスクから降ろし、高そうな椅子から立ち上がり、デスク前で立ち尽くす私に歩み寄ってくる。彼の身長は高く、自然と私は見上げる形になる。私の前まで来ても彼はしばらく私の目を見つめるだけだった。そして私はその視線に吸い込まれていく。そして自然と身体が熱くなっていく。最後には息すらできなくなりそうだった。 突然、彼は笑みを漏らした。そして私の肩に手を置く。 「君が今回の俺のパートナーか、こんな美人が来るなんて森の奴も教えといてくれよ。よろしくな美人さん」 それは低くて渋い、まるでコントラバスの音色のような声だった。しかし、私への気遣いか優しさがそこに滲んでいた。そして、彼は流し目を挨拶代わりか送ってきた。 私は、その圧倒的な男性の色気にあてられ、耳まで熱くなるほど激しく紅潮してしまう。そして彼はもちろんそれを見逃さない。 「どうした美人、俺に惚れると痛い目に会うから止めとけよ」 と微笑みながら、畳み掛けてくる。 「君のために会議室取ったから、ゆっくりふたりで話そう」 そうして、峯部長は私の背中を強引に押し、私を会議室に連れていく。押されている背中すら炎のように熱かった。     
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