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海に廃棄されたプラスチックが太陽光と波によって分解されて小さな粒となる。マイクロプラスチックと呼ばれる物質だ。
それは海洋生物に摂取されて体内に蓄積し、生体組織に害を与える。物理的異物として肝機能や肺胞に粒子毒性を発揮し、生物の寿命を縮める。
あらゆる海洋生物がマイクロプラスチックに汚染された。
生物は食物連鎖で循環する。
食べられ、食べて、死骸は分解されて沈殿し微生物からプランクトンへ、海底を漁る貝や海老や蟹を小魚がついばみ、それを獲物とする捕食生物を人間が漁獲する。
プラスチックをたっぷりと含んだ魚を人は食卓に並べた。
皮肉だったのは頂点捕食者となった人類のなかでも特に海洋資源を貪っていた日本人が、プラスチックの廃棄にたいして無関心だったことだ。
海外で海に廃棄されたプラスチックの危険性が叫ばれても、日本人の反応は鈍かった。
考えることは生活の利便性と自分たちの食欲だけ。
そのために日本人は酷い代償を支払うことになる。
日本各地でのマイクロプラスチックによる健康被害の症例報告が無視できない段階になって、日本近海でのマイクロプラスチックの調査が行われた。
調査結果は衝撃だった。
日本近海のマイクロプラスチックの量は世界平均の27倍、日本はプラスチックの海に浮かんだ島になっていた。
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