からだいっぱいの

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だから、もう、取り出さなきゃダメなんだ。 私は左手の金属を目の前にかかげた。 日の光を受けてきらりと輝く。 私を取り囲んだ人たちの笑いが消えていく。 笑っていた女の子たちが短い悲鳴をあげた。 子供を連れた女が逃げ出した。 警察はまだかよ、男子学生ががなっている。 取り押さえて! 初老の女性が叫ぶが近づいてくるひとはいない。 みんないっぱいだ、からだいっぱいにプラスチック。 てらてらと輝いて、もう子供も産めないし誰とも愛し合えない。 だって私たちの中にはもうプラスチックしか詰まってないから。 私は握ったナイフを右肘の内側に深々と刺した。 悲鳴。 真っ白な腕から溢れ出る血。 ゆっくりと手首に向かって腕を切り裂く。 どぼどぼとプラスチックだらけの血がこぼれ出た。 右腕からナイフを引き抜いて、全裸の体を滅多刺しにする。
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