《交わした約束》
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《交わした約束》

『そなた、うらの姿が見えるか』 そう問われた少女は、きょとんと小首を傾げる。 「ええ、お姉さんのこと見えてますよ」 背中まで伸ばした黒髪を三つ編みにした10歳程のその少女は、目の前の美しい女性をじっと見つめた。 「巫女様、でしょう?」 『さぁ、どうであろうな』 少女はふふっと笑って、スカートのポケットからハンカチの包みを取り出す。その中には色鮮やかな金平糖が数個入っていた。 「お姉さんも、どうぞ。父様が土産にと買ってきて下さったの」 差し出された金平糖を受け取り、女性はじっとそれを見つめていた。 『色鮮やかで、なんとも美しいこと』 「そうでしょう。それに、とっても甘くて美味しいの。良かったら、召し上がってくださいね」 『頂こう』 少女は、女性が腰掛けていた拝殿前の階段を上り、賽銭箱のふちに金平糖を三つ程置いた。 「白山しらやまの神様、いつも見守ってくださってありがとうございます。金平糖、とても美味しいの。神様もどうぞ召し上がってください」 手を合わせて、拝殿を見つめ声を掛ける。
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