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乱れのない衣服。肩口までのびた髪も前髪も丁寧に整えられている。 彼女は心から信頼できる相手によってその命の幕引きをしてもらったのだろう。 グリーンとブルーが息を合わせて遺体を持ち上げ黒い死体袋に納めていく。 眠るように安らかな顔が、黒い袋に覆われていった。 枯れ枝を踏み折る騒々しい音が聞こえて来た。 人が来るような場所じゃない。突然すぎるその足音に掃除屋三人衆にも緊張が走る。 「あのあの、ごめんください」 自分の身長よりもはるかに高い雑草のあいまから、ころんと出て来たのはひとりの女だった。小柄で、黒髪を肩口で切りそろえている。白いブラウスに濃紺のフレアスカート姿の、どこからどうみても明らかに、茂みをかき分けてやって来る理由なんてないはずの人間だ。 女は人懐こい笑顔を浮かべて「えへへ」と内また気味に踏み出した。 得体の知れない登場人物へ警戒感が湧きあがる。 「ちょっと、人を探していまして。御存じないですか」 女は手に何かを持っていた。 目を凝らすとそれがガラス瓶だとわかった。子供のような小さな手で包むようにしている。 俺の視線に気づいたのか、女は目を細めて笑った。 「あ、この人です。この人が、恋人を探しているんですが」 明るく言いながら瓶を掲げる。     
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