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「彼らは独特の生死感を教義にしているのです」
目に見えない壁の存在を教えられた気分だった。
「彼女もひとまず死にましたが、これから私たちが生き返らせます。だから返してください」
「お引き取りを」
ブルーが俺たちの前に出て来てそう言った。
がっしりとした肉体がまるで鉄壁の岩盤のように佇む。無言の威圧感に男たちがたじろいだ。
砂利を踏み鳴らしながら、レッドとグリーンも仲間と肩を並べる。
頭の上からつま先まで黒をまとった三人が立ちふさがる。
女の後ろに控える男が切羽詰まった声をあげた。
「早くしないと生き返らせることが難しくなる。時間との勝負なんだ」
女は片手でビンを突き出して、声を張り上げる。
「一緒に帰りたいって言っているのが聞こえないの、あなたたちには!」
閉じ込められた狭い空間で指が無遠慮に飛び回る。指輪が瓶に当たっては、助けを求めるような音が聞こえて来る。
ブルーは筋肉質の腕で悠然と腕を組み、グリーンは何も言わずに佇んでいる。
レッドは耳をほじくった。
女の顔から表情が消えうせた。
「……あっそう」
それまで取り繕っていたものを放棄するように、ビンを足元に投げ捨てた。
「じゃあ死ね。教義に則らぬものはただただ死ね」
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