4人が本棚に入れています
本棚に追加
/164ページ
私はいつの間にか、魔法に掛かっていたのかもしれない…いつからか、そんな事を思うようになった。
「美雨。あんたさ、最近その"風見さん"って人の話ばっかじゃん」
「え…?」
私の中では無意識だった。
以前から人見知りは相変わらずだけど、晴香と話す時だけは本音を打ち明けるようにしていた。
そして、最近あったいい事や嬉しかった事等の話を楽しく話していたとは思うけど、確かに言われてみれば最近は彼の話ばかりしていたような気がする。
雨が降った日の彼は、歳に似合わずまるで子供のように嬉々としており、何度も顔を合わせている内に私もいつの間にかそれに感化されていたのかもしれない。
彼と話す事が楽しい…あれだけ嫌いだった雨なのに、今は雨の日に彼と話が出来る事を楽しみにさえしている自分に気付いた。
そしてもう一つ、私にとっては無意識だったけど、変化があった。
「風見君、おはよう!!」
「おはよー」
今日も放課後からバイト。
気付いた?
呼び方が"さん"付けから"君"付けに変わり、話し方もタメ口になっていた。
ほんの少し前の私だったら、絶対に有り得ない事だった。
一つ二つ歳上の先輩でも絶対に言葉遣いを崩さなかった私が、あろう事か私より10個も歳上の彼に対してタメ口で話すようになっていた。
最初のコメントを投稿しよう!