大人な彼、子供な私

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別に子供扱いされてる訳ではないようだった。 そんなネガティブな自分自身に嫌気が差す一方で、逆に雪さんは子供のように駄々をこねていた。 「なんで私にはくれないの!?」 「雪には前あげたやん。お姉ちゃんでしょ?」 そんな雪さんを、彼はまるで姉妹喧嘩を宥める兄のように、冗談っぽく優しく宥めた。 こんなに大人っぽい雪さんが子供扱いされてる光景に、思わず笑ってしまう。 今日は晴れた土曜日なので、繁忙時はやっぱりかなり忙しかった。 私一人では手が回らない状況でも雪さんが一緒だから何とかなったし、それでも足りない場合は彼もフォローに来てくれる。 私もいつか、こんな二人のように頼り甲斐のある先輩になりたいと思った。 そんな事を思いながら仕事を熟す中、決して気を抜いていたとか他所見をしていたという訳ではないけど、お客さんを怒らせてしまった。 「遅い!!いつまで待たせる気だ!!」 酔っ払いの二人組だった。 ビールのおかわりを頼まれたけど、繁忙時はやっぱり他に手を取られる事も多くどうしても遅くなってしまいがち。 それにより痺れを切らしたお客さんが、物凄い血相で私に怒鳴り声を上げてきた。 「こんなガキに仕事させんな!!店長出せ!!」 あまりに酷い暴言で、涙が出てきた。
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