気付いてしまった、私

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私が雪さんと会うのは、実はこれが最後だった。 この日以来雪さんは、突然バイトを辞めてしまった。 建前上は就活の都合という事になっているけど、その実はまだ大学も卒業していないのにそんな筈がない。 その事実を知っているのは直接関わった彼と、それに気づいた私だけだった。 それから漠然と刻は流れ、夏休みもそろそろ終わりを迎える頃、私は思いきって彼に尋ねてみた。 「正直雪さんの事、どう思ってた?」 「……」 すると彼は、少しだけ淋しそうに微笑みながら答えた。 「友達か妹みたいな感じ…かな?」 やっぱり彼は、雪さんに恋愛感情は持っていないみたいだった。 私の中では雪さんに同情する一方で、少しだけホッとしている自分に気付く…本当に嫌なヤツだな私。 実はこれまでに雪さん以外にも、私が知っているだけでも彼が自分に気があるんじゃないかと勘違いしている娘は何人かいた。 うちの店の更衣室は、男女で別れた二室を一枚の壁が隔てているけど、上は吹き抜けになっていて隣の会話は丸聞こえだった。 更にうちの店の更衣室は、更衣室とは名ばかりで建前上は男女分けしてるけど、男女構わず誰もが普通に出入りしていた。 そんな片方の一室で私が休んでいると、もう片方の一室から色んな会話が自然と聞こえてくる。
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