ある夏の日の噺

2/5
前へ
/5ページ
次へ
一日が終わっても違和感は消えなかった。 いや、消えないどころか、それは徐々に姿を表していた。 早い話、昨晩の記憶がないのだ。 昨晩の、と言うのは昨日の記憶すべてがないわけではないからだ。 ただ、どこから記憶がないのかあやふやなのだ。 昨日の夕飯はそうめんだったはず。 そうだ、母さんが「暑くて何もしたくない〜」と愚痴りながら、わざわざそうめんを茹でているのを見て、じゃあなんでそうめんにしたんだよ、とつっこみたくなったのを覚えている。 それで、そうめんを食べて、弟とさすがに今夜はエアコンを入れようって話をした。 そこまでははっきりと覚えているのだが、そこから先が思い出せない。 思い出せないと言うよりも、記憶が曖昧と言った方が正しいかもしれない。 なんとなく、言われればそんな気はするけど、でもやっぱりわかんない、みたいな感じだ。 イベについても、そんなイベがあった気はするけど、やった記憶が無い、といった感じで、なんか、こう、抜け落ちたような感覚なのだ。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加