ある夏の日の噺

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「ただいまー」 家に帰ると、母さんが何やらブツブツ言いながらコンロの前に立っていた。 「あら、おかえりカケル。本当に今日は暑っついわね〜。もう嫌になっちゃうわ〜。」 なんか、昨日も聞いた気がする。 「母さん、それ昨日も言ってなかった?」 母さんが前の日と同じことを言うのはわりといつもの事だ。 だからこの時も、軽く茶化したつもりだった。 「え?何言ってるの?昨日は涼しかったじゃない。」 「え?」 昨日は涼しかった? 何を言っているのだろうか。 昨日は熱帯夜で、エアコンを入れるほど暑かったと言うのに、涼しかったとは? 「母さんこそ何言ってるの?昨日は熱帯夜だったじゃん。」
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