ある夏の日の噺

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「はあ?ここ数日はずーっと冷え込んで寒いくらいだったじゃない。熱帯夜だなんて、あんたもついにボケたのかしらね。」 黙って聞いてりゃ、随分言ってくれるじゃないの。 「なんだよ。そんな言い方無いだろ。それより今日の晩飯は?」 「今日は暑いから、そうめんよ。まったく暑くって何もしたくないわ〜」 ??? おかしい。 そうめんは昨日も食べたはずだ。 それにこのセリフも昨日聞いた。 「……母さん?そうめんは昨日食べたよね。今日もなの?」 「あんた、さっきから何言ってるの?昨日の夕飯は生姜焼きでしょ。昨日食べたものも忘れるなんて。やっぱりボケたのよ。」 「はあ?そんなわけ無いだろ。ったく、どうなってんだよ。」 おかしい。どう考えてもおかしい。 昨日あったはずの出来事が今、目の前で起こっている。 もしかして、本当に僕がボケたのか?
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