ある夏の日の噺

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「はぁ……もういいからさっさと荷物置いてらっしゃい。」 「……うん。」 何が起こっているのだろうか。 僕はボケてないはずだ。 何より今朝、教室でみんな暑かったと言っていたじゃないか。 2階の自分の部屋のドアを開けた時、むわっと生ぬるく、不快な風が吹いてきた。 「うぇっ、あっつ……。」 あれ?なんか、昨日もこんな感じだったな。 デジャヴを感じながら、部屋の窓を開け、荷物を置いたところでスマホに通知が来た。 今朝リクと話したゲームの通知だ。 「今日なんかあったっけ……」 不思議に思って確認すると、そこには 『遂に解禁!リア解放日イベント、本日17:00から!』 とあった。 「え……リア、解放日!?」 リアとはこのゲームにおける僕の推しキャラ。 解放日とはそのキャラクターの新衣装が実装される日であり、推しのものとくれば死に物狂いで回るのである。 だが、この驚きはそこから来るものではなかった。 「なんで……解放日は、昨日のはずじゃ……」 そう。リア解放日イベント。 それは昨晩僕が周り損ねたイベントだった。
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