prologue

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私が泡の世界で生きているのなら、 君はきっと光り輝く陸の上に住んでいる。 私は泡の世界でもがき続けていた。 何度掻いてもかいても、手の平からすり抜けてまた全身を包み込む小さな泡たち。 いつの間にか視界はすべてそれに染まり、私は必死に陸の上に向かって手を伸ばしていた。 その手を掴んでくれるのが、君だったら。 突如、泡が逃げるように周りから消え去った。 誰かが、私の手を掴んでいる。 期待に胸を膨らませながら、私は顔を上げた。
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