74人が本棚に入れています
本棚に追加
私が泡の世界で生きているのなら、
君はきっと光り輝く陸の上に住んでいる。
私は泡の世界でもがき続けていた。
何度掻いてもかいても、手の平からすり抜けてまた全身を包み込む小さな泡たち。
いつの間にか視界はすべてそれに染まり、私は必死に陸の上に向かって手を伸ばしていた。
その手を掴んでくれるのが、君だったら。
突如、泡が逃げるように周りから消え去った。
誰かが、私の手を掴んでいる。
期待に胸を膨らませながら、私は顔を上げた。
最初のコメントを投稿しよう!