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「これ…誰に貰ったの?」
既に一口目のマカロンを頬張っていた私は、ごくんと飲み込んでから答える。
「水泳の…友達?いや、…知り合い?」
顔見知りってわけでもないような…。
思いつく言葉はどれも合わなくて、首を傾げながら二口目を口に含んだ。
「…そっかぁ」
たっぷりと間を開けて呟いたお姉ちゃん。
キーホルダーを私の手に包み込むように置いた、いつもの天真爛漫な笑みからは想像できない大人びた微笑みに少し動揺する。
しかしそれは一瞬だった。
「そっかそっか、奥手な心音にもついに彼氏かぁ!」
「いや違うから!」
「え?じゃあなに?モテ期?!」
「それも違うっ!」
向こうには彼女がいる。
それに、あの無表情。
きっとただ気が向いただけとか、そんなもん。
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