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午後二時。
昼は過ぎたけれど、まだ太陽は元気に地上を照らしていて、外に出た瞬間また汗が噴き出した。
家を出て、人通りの少ない路地裏を通る。
なるべく影を選びながらしばらく歩くと、見慣れた洋風の白い家が目の前に現れた。
「心音〜待った?」
そう言いながら出てきたのは、白いワンピースを着て、この猛暑も気にしていないような、涼しげな顔をした女の子。
バックに家の鍵をしまいながら、軽やかに私の元へ駆け寄ってくる。
私の親友、茉由だ。
「ううん、今来たところ」
「そっか!」
微笑んだ茉由の茶色い髪がふわりと揺れる。
水泳をしていたら自然と髪が茶色くなる事もあるらしいけれど、どうしてこんなにも綺麗に染まっているんだろう。
私は、少し傷みかけた髪をぽんっと叩きながら、雲ひとつない空を見上げた。
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