3 苦み

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「うわっ?!」 突如、同じタイミングで飛び出してきた相手とぶつかりそうになり、飛び退()く。 「なんつー驚き方だよ…」 「す、すみません…?」 あれ、なんで避けたのに謝ってるんだろう。 それにこの声、さっきまで聞いてたような…。 ぶつかる寸前だった相手が、手に持っていたものを軽く揺らす。 「これ。忘れてた」 「あ…。ありがとう…」 内心呆れたように私の水泳バッグを差し出したのは、あの陸人くんで。 …見間違い? あの冷血王子(と呼んでいただけの)人物が ただの知り合いのバッグを届けてくれるなんて…。 いや、めちゃくちゃはっきり見えてます。ご本人です。 私はどれだけ周りの噂に流されてたんだろう。 普通に、いい人だったんだ。 バッグを受け取ると、もうひとつころんと、 キーホルダーのようなものが手に転がり落ちてきた。 「?何これ…」 「あげる」 「え?」 驚いて目をまじまじと見つめてしまった。
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