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飯塚「はい。宇宙船開発担当委員の飯塚です。帰還用宇宙船はすでに完成し、酸ヶ湯の雪中に設置しております。現在県内外で生存が確認されているツカノップ星人三四二人を無理なく乗船させ、ツカノップまでの飛行が可能となっています。また、機動力についてですが、重要なのは離陸までのエネルギーで、これが莫大な量必要なのです。内部に積載するには無理があるため、外部から取り込む方法で調整を完了しています」
小野塚「外部から取り込む、というのはどういうことでしょうか」
飯塚「宇宙船外側は、保護と保温のためツカノップモグラの毛を使用しています。ツカノップモグラは毛を介してお互いのエネルギーを交換することが可能です。これを応用し、現在全国に流布しているツカノップモグラからエネルギーを吸い上げながら、離陸を行っていく予定です」
鬼塚「私から補足をよろしいでしょうか」
小野塚「はい、鬼塚エネルギー担当委員」
鬼塚「ツカノップモグラは現在、通称モケモケとして全国に広まっています。こちらは、塚田さんの下で品種改良したもので、緊急時には外部の生命体からエネルギーを吸い上げることが可能です。緊急時とはつまり、我々の宇宙船の離陸時であり、外部の生命体とは、主に彼らの飼い主の人間のことです。酸ヶ湯雪中から宇宙船を起動させ、日本列島全体を滑走路とし、沖縄上空で大気圏外へと抜ける予定です。離陸後の運航は、内部エネルギーで問題なく賄えます」
下塚「エネルギーを吸い上げられた人間は、どうなるのですか?」
鬼塚「そうですね、ミイラみたいなものを想像していただければ」
下塚「それでは、飼い主の人間は死んでしまうのでしょうか?」
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