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小野塚「罪のない地球人が犠牲になるのは、胸が痛みますな。我々は三十年間、故郷への羨望を忘れることはありませんでしたが、地球人とも仲良くやってきたわけです」
鬼塚「しかし、必要な犠牲です。地球人が外部生命体に寛容であれば、我々はこのような長期間の苦痛は受けなかったわけです」
飯塚「そうです、皆さん思い出してください。人類に擬態を完了するまで、やれUMAだ、イエティだと追い回されたあの日々を」
(各々が地球不時着直後の思い出を語りだし会議中断。)
小野塚「会議が中断してしまいましたが、やはり私は罪のない地球人を殺すことには反対です」
塚田「委員長、意見してもよろしいでしょうか。ツカノップ星人全体に決を採るのはどうでしょうか?母星への帰還という、大変重要な議題ですし。以前の告知通り、二月二十九日に宇宙船を発射させるか、計画を延期し、人類に危害のないかたちを再検討するか」
小野塚「なるほど。その他の委員から、何か反対意見はありますか?ありませんね。それでは、ツカノップ星人全体に決を採りたいと思います。飯塚委員は、県内外のツカノップ星人へ伝達の手配をお願いします」
(記録者注:会議は強い津軽弁・南部弁・陸奥弁なまりで行われたが、記録のため標準語に修正している。)
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