一人と一匹(1)

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 もっとも俺が人語を解するのだって普通じゃない。その辺の野生動物なんかにゃちょっと真似出来ないぜ。頭の出来が違うからな。  俺はいわゆる魔獣ってやつだ。種族としては闇犬(ナイトドッグ)。本来ならあまり人間に好かれる種の魔獣じゃない。  こんな片田舎の村にもやってくる常に武装した人間、職業は冒険者っていうらしいが、そいつらに言わせりゃ駆除推奨魔獣ってのに当たるんだとさ。今はリーエと生活してるけど、普通なら人間には毛嫌いされて追い立てられる対象だろうな。  それでも簡単にゃやられたりはしないぜ。種族特性魔法ってやつが使えるからな。武器がいっぱいあるってもんだ。  そのお陰で頭の中身も結構出来がいい。魔法ってのは脳をがっつり使うからな。発達してないと使えない訳だ。そのついでみたいに人語も理解出来るようになったんだがな。  こいつにはちょっと慣れが要る。やっぱり人間に触れ合うような環境じゃないといささか厳しいだろうな。そうじゃなきゃ、何となく空気を察するくらいが関の山だろうぜ。  俺が人語を聞き取れるのは相棒との付き合いが長いお陰だ。     
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