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そこに目を付けたのはこのステインガルドの連中さ。
何せ冒険者ギルドも無けりゃ、遠く離れた地とも文章のやり取りが出来る情報通信魔法具の伝文装置も置いてないような片田舎の小さな村だ。当然治療院などという便利なものは無い。村人は、大きな怪我をしたり重い病気に罹ったりすれば半陽ほど馬車や鳥車に揺られなくてはならない隣町に頼るしかない。
そこへ村に縁のある治癒魔法士が現れたとする。放っておける訳がない。兎にも角にも居付いてくれるよう説得に説得を重ねた。
少女が旅暮らしを続けるなど将来の為にならないと言い募り、ステインガルドには伯父が居る訳だからそこへ預けるべきなのではないかと持ち掛けたのさ。話としては筋が通っちゃいるが、相棒もなかなか首を縦に振らなかった。
でも、シェラードもその頃の暮らしに無理を感じてたんだろうな。伯父のクローグのとこに厄介になるようリーエを説き伏せて話を進めた。それが彼女が十一の時だ。
それから二輪は伯父の家で暮らしてたんだが、相棒の不満が爆発しちまった。親類とは言えあまり馴染みのない家族と暮らすのを嫌がって親父さんに直談判した挙句、家を一軒建てさせた。それがこの家だ。
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