触れていたい人

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「ああっ! なにこれ。強い!」  美少女はさらに攻撃の手を緩めることなく、どんどん前のめりになって攻撃してくる。神谷さんが後ろでぼそりという。 「強いっていうか……それ以前の問題でしょ。ガードのやり方、知っててやってる?」 「知りません! テキトーです」  手元を動かすのに必死で、とりあえずそう叫び返す。パンチとキックを出してみるけれどかすりもせず、無防備な状態でひたすら美少女に攻撃される状況が続く。  最後は飛び蹴りをくらって、イケメンはあえなく後ろに吹っ飛んだ。画面にはでかでかとloseの文字。  「あっさり負けたな」  神谷さんがため息まじりに笑った。 「前も、こんな感じだったんです。どうすればいいですか?」  大きくため息をついてふりかえって神谷さんをみると、うーん、とうなってから画面を覗きこむ。  少し近くなった横顔をちらりと見上げる。ゲームと向き合うとき特有の、真面目な表情が視界にはいって、心臓がとくりと音をたてて鼓動を早めてしまう。
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