触れていたい人

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「とりあえずガード。レバーを相手と反対側に引けば自動的にガードされるから。普通の攻撃はそれで耐えられる。それから、基本的な攻撃だけど……」  そういって、攻撃のためのごく初歩らしいレバーとボタンの操作方法を私のようなヘタクソにもわかりやすく教えてくれた。   口調はヤッパリいつも通り、偉ぶった様子なんかまるでない。レジェンドプレイヤーだという神谷さんにそんな対応をしてもらったら、わたしもちゃんとできるようになりたいと力が入る。  それなのに。戦っている最中にレバーの方向やボタンの位置を考えて、すぐさま入力できる気がしない。タイミングがわからない。  残念だけど、ゲームセンスというものが全然ないのかもしれない。ちょっとあせってくる。 「神谷さん、すいません」 「うん、なに? わからなかった? もう1度言う?」 「いえ。頭では理解したんですけど、手がついていかなそうで。神谷さんがやっているのを、みているだけでもわからなそうだし。 あの、申し訳ないんですけど、うしろから一緒に操作してもらえませんか?」 「ええっ?!」  神谷さんはおかしなくらい驚いて後ろにのけぞった。
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