その恋は、とてつもない質量で落ちてきた

触れていたい人

「今まで結構、人に教えてきたけど、そんなこと１度もしたことねーぞ、俺」

　そう言われてびっくりした。ゴルフでも、テニスでも、最初は手取り足取り教えてもらえた方が初心者には感覚を掴みやすい。ゲームでも一緒じゃないかと思っていた。

「え、普通そうやって教えるんじゃないんですか？」

「イヤイヤイヤ。他の奴は知らないけど、少なくとも俺はやったことないよ」

　神谷さんはなんだか微妙に困っている。でもここは食い下がってみなくては。

「今まで神谷さんが教えてきた人たちって、ゲームやりこんでるゲーマーさんばかりですよね？　そういう人たちにはやってみせたり口でいえば一発でわかるでしょうけど、わたし、本当に全然わからないんです」

「普通は自分でプレイしながら覚えるんだよ。しかもそれ、セクハラっぽい図じゃない？　若い女の子に教えたがるエロオヤジみたいだから、なんだかなあ」

　神谷さんはなかなか首を縦にふってくれない。及び腰な神谷さんをみていたら生来のイジッパリが顔をだしてきて、引っ込みがつかなくなってくる。