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スティックを握りしめた左手とボタン上に置かれた右手甲うえ、ふわりと神谷さんの手のひらが被さった。
触れられた瞬間、ピリッと電気が走り小さく身震いしてしまう。
聞こえないようにそっと吐いた息が熱を帯びている。
目の前に重ねられた手。男の人としては細くて長い指。だけど手のひらはやっぱり大きい。つい凝視してしまう。
彼の体温をダイレクトに感じる。熱い。痺れに近い痛みが背中を走り抜けた。
鼓動が一気に加速して限界を超えそうになる。このまま心停止したらどうしよう。
こんな状態でゲームなんてできるもの?
とはいえ自分から懇願したのに、やっぱり恥ずかしいからムリでした、やらなくていいです、なんて絶対言えない。
意識を無理矢理、モニター画面に集中させる。耳のあたりで血流がどくどく音をたてて、うるさい。
「じゃ、いくよ」
ガチガチになっているわたしに比べて、神谷さんは憎たらしいくらいにいつもどおりだった。のんびりした口調でそういうと、ゲームをスタートさせる。
Round2 Fight!
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