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高校生活
案の定、入学式直後のテストは見たことがない数字だった。順位は後ろから数えた方が早かった。
私が入試を受ける時の制度は、「推薦入試の生徒は、学科のテストを受けなくていい。」というものだった。だから、内申と面接の受け答えが良ければ合格することができた。
だからこそ入学初めの集会で、「推薦組は勉強をサボっていて、みんな成績が悪い。気を引き締めて勉強しなさい。」と言われた。
なんとなく心構えはしていたものの、落ち込んだ。それからも成績の不振は続き、特に不得意な数学は、のび太くんと同じ「0点」をとったことだってある。
苦手な数学のテストを受ければ、オール赤点であった。中学の頃は苦手な教科でも70点以上はキープをしていたので、その頃から考えるとありえなかった。毎回追試験に参加しなければならなかった。追試をしに、わざわざ土日に学校に出かけたことも多々あった。授業やテストでの嫌な思い出は死ぬほどある。
ある授業で指名された。ほんとに答えがわからなかった。だから私は
「わかりません。」
と答えた。
教師はイラついたように
「分かりませんと言うな。」
と私を叱った。
「分かりません、以外答えられるまで立ってなさい。」
私は授業中なかなか座れなかった。
分からないから、それ以外喋れない。
頭が良ければ先生から贔屓される、辱しめを受けることもない。
じゃあ問題に答えられない私の、教室での存在意義はなんなんだろう。勉強ができない私に、教室でも存在意義を感じられなかった。
授業でぼーっと立ったまま私は自分の存在意義について考えていた。
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