串カツパラダイス

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 名古屋の串カツの屋台では、油で揚げる串カツと赤味噌で豚モツ串を煮込んだどて煮を食べられる。  味付けの為にウスターソースが入ったパットも置いてあるが、どて煮の鍋に串カツを突っ込んで、味噌串カツにして食べられる事が多い。 「はい、いらっしゃーい」  いつもの串カツ屋の親爺に紙皿を渡され、まずは缶ビールを注文する。ビールで軽く口を湿らせた後、揚げたての串カツを一本皿に取った。  どて煮の鍋にどぼんと浸し、全体に味噌ダレが付くように鍋の縁で回転させる。串カツを口に入れると、最初にサクッとした衣、次に弾力性のある肉の食感が歯に伝わる。そして、独特な赤味噌の風味と肉そのものの旨味が口の中に広がっていく。口の中が少し油っぽくなってきたところで、ビールを飲んでさっぱりさせる。  串カツの次は、どて煮だ。「手前の方がよう煮えとるでよ」と親爺の言う通り、よく煮込まれた串は、手前の方に寄せられている。その中でも、くたくたになるまで柔らかくなっている方が僕の好みだ。一本皿に取って、口に入れる。柔らかい。当たりだ。多少は栄養バランスも考えて、食べ放題のざく切りキャベツも食べる。このキャベツは、揚げたてでまだ熱々の串カツを取る時には、串部分にくるりと巻けば火傷も防げるという優れものだ。ちなみにこの豆知識も、いつも屋台の親爺が客に向かって言っている事だ。 「揚げたては熱いで、キャベツの葉っぱを巻いて熱くなく栄養バランスもいい、一石二鳥の四文字熟語作戦か、ザ・我慢大会でよろしくー」     
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