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エピローグ
都内のある有名ホテルの、会場。
庭の桜の蕾がほころび始めた三月某日。
大勢の記者やカメラが集まる中、壇上には白いカバーがかかり中央に大輪の花が飾られた会見席が用意されていた。
席の頭上の壁面には「月光堂グループ初のアパレルブランド“フィオレンツァ”及び美容とファッションに特化したショッピング・モール“カリス”発表会」と明朝体で大きく看板が掲げられている。
席の一番端にはすでに、月光堂グループ会長の雨宮剛蔵がいつもの羽織袴姿で腰を下ろし、その脇に司会進行役の有名タレントがマイク片手に控えていた。
多くのフラッシュが焚かれる中、剛造はいつもの周囲を圧する口調で、いきなりテーブル上のマイクに向かい、「えー……」と一声発した。
途端に場は水を打ったように静まり、剛造は目の前にズラリと並ぶカメラに向かい、上機嫌の様子で演説を始めた。
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