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ーー優しかった新しいママも、しばらくすると居なくなった。
新しいママは、お母さんと同じように遊んでくれて、たくさんお話もしてくれた。
お父さんが私を殴ろうとすると止めてくれたし、守ってくれた。
私は、初めて新しいママが好きになった。
新しいママが、私のこれからのお母さんになるんだって、そう思っていた。
だけどそれも、数ヶ月間だけだった。
私が好きになった新しいママも、昔の新しいママと同じように二度と家に来なくなった。
ーーなんで?いらないのは昔の『新しいママ』なのに。今の『新しいママ』には居て欲しいのに。
なんで、なんで居なくなったの。
そうお父さんに尋ねると、無言で私を殴り、家を後にした。
それから、どれくらいたっただろうか。
学校にも通えず、ただただ私は家の中でテレビを見ていた。
お父さんに「学校に行きたい」と言ったが、「めんどくさいから」の一言で断られた。
それ以上言うと殴られるから、私はもう何も言わなくなった。
けど、私が喋らなくなったからといって、お父さんの暴力は無くならなかったし、それに新しいママもたくさん増えていった。
新しいママは、優しい人もいれば私に暴力をふるう人、私に興味が無い人と、たくさんいた。
いつの日からか、私は新しいママの顔を覚えられなくなった。
いつもいつも違う顔の人が、私の「新しいママ」として家に来る。
名前もわからない。何をしている人なのかも知らない。ただわかるのは、私の「新しいママ」だということだけ。
そしていつの日からか、お父さんも私に対して「新しいママだ」とは言わなくなった。
新しいママでも無いなら、一体何なのだろう。
何のために家に来ているのだろう。
ーーその理由を知るのは、私が15歳になってからの事だった。
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