新しいママ file.1

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ーー優しかった新しいママも、しばらくすると居なくなった。 新しいママは、お母さんと同じように遊んでくれて、たくさんお話もしてくれた。 お父さんが私を殴ろうとすると止めてくれたし、守ってくれた。 私は、初めて新しいママが好きになった。 新しいママが、私のこれからのお母さんになるんだって、そう思っていた。 だけどそれも、数ヶ月間だけだった。 私が好きになった新しいママも、昔の新しいママと同じように二度と家に来なくなった。 ーーなんで?いらないのは昔の『新しいママ』なのに。今の『新しいママ』には居て欲しいのに。 なんで、なんで居なくなったの。 そうお父さんに尋ねると、無言で私を殴り、家を後にした。 それから、どれくらいたっただろうか。 学校にも通えず、ただただ私は家の中でテレビを見ていた。 お父さんに「学校に行きたい」と言ったが、「めんどくさいから」の一言で断られた。 それ以上言うと殴られるから、私はもう何も言わなくなった。 けど、私が喋らなくなったからといって、お父さんの暴力は無くならなかったし、それに新しいママもたくさん増えていった。 新しいママは、優しい人もいれば私に暴力をふるう人、私に興味が無い人と、たくさんいた。 いつの日からか、私は新しいママの顔を覚えられなくなった。 いつもいつも違う顔の人が、私の「新しいママ」として家に来る。 名前もわからない。何をしている人なのかも知らない。ただわかるのは、私の「新しいママ」だということだけ。 そしていつの日からか、お父さんも私に対して「新しいママだ」とは言わなくなった。 新しいママでも無いなら、一体何なのだろう。 何のために家に来ているのだろう。 ーーその理由を知るのは、私が15歳になってからの事だった。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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