プロローグ

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◆  ◆  ◆  ◆  ◆  そんな事があった数日後――。 「ふぅ」  優しい駅員に教えてもらった大衆食堂で、夢莉は一息ついていた。 「……さて」  一息ついた後、夢莉は伝票を持って会計へと向かう。 「ありがとうございましたー」  お会計をしつつ「やっぱりこういったあまり観光雑誌などに載っていなさそうな場所に来た時は、自分で探すよりもその場所に詳しそうな人に真っ先に聞くのが一番!」と思いながら夢莉は一人「うんうん」と頷いていた。 「ありがとうございました。とても美味しかったです」  そう一言添えて、満腹になったお腹の確かな満足感と共にホッとした気持ちのまま大衆食堂の扉をゆっくりと閉めた。 「うん、ここも美味しかった」  優しい駅員は、一件だけでなく色々な食事を出来る場所を紹介してくれた。  その紹介してくれた中には宿泊できる場所まで教えてくれたおかげで、夢莉は食べる場所や泊まる場所に困る事もなく、こうして『旅』を満喫する事が出来ている。 「ふぅ……」  そして「よし」と、路肩に出て手提げカバンを肩にかけた瞬間。突然『何か黒いモノ』が横切った様に感じた――。 「え?」  何かが横切りそんな声を出ていた時には、夢莉は手をついて地面に倒れていた。 「……?」  一瞬の出来事に、何が起きたのか理解出来ない。 「??」  ただ分かったのは、手に持っていたモノがなくなった事と、突然何かに引っ張られた衝撃で少し前のめりになり倒れた事。 「あっ!」  そして、ようやく自分に何が起きたのか理解したのは……自分のカバンは盗られてしまった後だった。
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