消えない恐怖

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消えない恐怖

 解けない金縛りに焦っていたら、背中の方から 母の声が聞こえた。 「 牛の心臓の音がする。」  母の声と共に、金縛りが解けた。 私は、すぐに寝返りをし、壁から離れた。    『 牛の心臓って・・・? 』  「牛の心臓のなんて、聞いたことあるの?」 母に素直な疑問をぶつけた。 恐怖心でいっぱいだったはずなのに、意外と冷静な自分に驚いた。    それくらい母の言葉が不思議で仕方なかった。  「 今のは、牛の心臓音やわ。 」  そう言い切る母に、それ以上言う言葉もなく黙った。心臓の音、確かに心臓の音だった。  隣の部屋との壁が薄いのは、よく分かっていた。    隣の息子さんの喧嘩してる声がよく聞こえていたから。  そんな薄い壁の間に何かがあるとは、とても思えなかった。  一体なぜ、心臓の音が?  もしかして死体が隠されてる?  サスペンスドラマの様なことを想像しては、 1人でゾワッとなっていた。  すぐ隣は、小学校だから昔は、家畜とか飼っていたのかもしれない。  戦争で焼かれた牛の魂とか?念が残っているのかもしれない。  そんなことを考えていたら、いつの間にか眠っていたらしい。気づいたら朝だった。          
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