1人が本棚に入れています
本棚に追加
全てを見透かされているかの様に思えた。ヘンリーは牧師を睨みつけると、腹をくくったかの様に、肩の力を抜き、ゆっくりと語り出した。
「分かった。理由を言おう。」
これからが本番だと言わんばかりに、牧師の顔は一段とニヤけた。
「妹は・・・不死なんだ。・・・多分、あんたの所に来たと思う。僕と同じ顔をしている。一卵性の双子だ。」
ヘンリーの言葉に、牧師は少し考え込んだ。何かを思い出そうと、上を向いてはヘンリーの顔を見てと、視線を行ったり来たりとさせた。何度か繰り返ししていると、今度はじっとヘンリーの顔を見つめる。そして思い出したかの様に、口を大きく開け、手に持つ煙草をヘンリーの方へと指した。
「あぁ!あの美少女か!」
思い出した牧師は、嬉しそうに何度も頷く。
「うん、うん。君、どこかで見た事あると思ったら、あの美少女の双子の兄か!深い青色の瞳が同じだ。」
瞳の事を言われたヘンリーは、思わず視線を牧師から逸らした。
「妹の名は、グレイスだ。」
牧師は聞き覚えのある名前に、また何度も頷いた。
「あーそうそう、確かグレイスちゃんだ!長い金色の、サラサラヘアーの子だったなあ、確か。」
段々とグレイスの姿を思い出して来た牧師は、嬉しそうに彼女が来た時の事について、話し出した。
最初のコメントを投稿しよう!