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地下室の入り口まで差し掛かると、ヘンリーは足を止め、しばらく立ち止まると、体をクルリと回し、また牧師の元へと歩み寄った。牧師はその姿を、ただ顔をニヤニヤとさせながら、見つめているだけだ。牧師の目の前に新たに立ったヘンリーは、牧師が吸っていた煙草を乱暴に取り上げると、それを床へと放り投げ、右足で思い切り踏み付けた。
「此処に来れば、どんな事でも教えて貰えると聞いた。」
ヘンリーは、今度は静かな声で言った。牧師は相変わらず顔をニヤニヤとさせ、彼を見つめている。
「知りたい事がある。」
真っ直ぐに牧師を見ながら言うヘンリーに、牧師もまた真っ直ぐに彼を見つめる。
「いいよ、教えてあげよう。それで?君は何が知りたい?そしてどう失敗する?」
薄笑いを浮かべる牧師に、不気味さを感じながらも、ヘンリーは牧師の目を真っ直ぐに見つめながら言った。
「不死・・・。」
ただ一言のその言葉に、牧師は更に顔をニヤニヤとさせた。裸足の足を大きく持ち上げ、鏡台の上に両足を乗せると、体操座りの様な格好をした。
「不死・・・ねぇ・・・。」
左に軽く首を傾けると、少し何かを考えているかの様な素振りを見せる。しばらくしてから、牧師は首を元の位置に戻し、右手の指を二本立て、顔の横にかざした。
「どちらが知りたい?一つ、不死になる方法。二つ、不死を殺す方法。」
牧師の問い掛けに、ヘンリーは迷う事なく答えた。
「どちらもだ。」
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