ヘンリー

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 「ただしだ!支払いはちゃんとして貰うよ。例え子供でもね。」  支払いと言う言葉に、やはりそう来たかと言った具合に、ヘンリーは上着の右ポケットの中に手を突っ込んだ。そんなヘンリーの行動に、牧師は溜息を吐きながら、首を何度も左右に振った。  「違う違う。カードでも取り出す気かい?支払いはねえ、お金でも物でもないんだよ。」  牧師の言う通り、ポケットの中からクレジットカードを取り出そうとしていたヘンリーは、そっとカードをポケットの中へと戻した。  「情報はお金で買う物じゃないのか?」  不思議そうに聞く彼に、牧師はまた顔をニヤニヤとさせた。  「まっ、普通はね。でも此処での情報は普通じゃあないし、そして私も普通じゃあない。」  楽しそうに笑いだす牧師に、ヘンリーは膨れた顔をする。  「神父様が普通じゃないのは分かっている。なら情報料は何だ?」  牧師はニンマリと笑うと、今までの中で一番嬉しそうな顔をして言った。  「理由だよ。何故その事について知りたいのか、そしてどうしたいのかって理由。」  「理由・・・。」  少し後退りをするヘンリーに対し、牧師は身を乗り出して続けた。     
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