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星五段階の二を少し上回っている程度であるが、その理由は「怖すぎた、無理」や「怖いのは我慢できるが、抜け出せないのはどうなのか?」といった意見が大半を占めていたからだ。
しかしこれは、いろんな意味で良い広告になっており、来場者が絶えないアトラクションとして有名になりつつあった。
そんな、奇特なイベントに快諾してくれたのが、仮初の彼氏である秀であり、彼自身も気になっていたようで、勉強の息抜きとしてとても楽しみにしていると連絡を貰え、それ故にこの日がとても待ち遠しく、指折り日にちを数えていた。
「やばい」
急いでバッグに荷物を詰め込むと、階段を駆け下りながら自分の足元をみるなり、ネイルをしていけばよかったと思ったが、既に玄関に到着しており、待ち合わせまで三十八分しかない、彼女は綺麗に整えたばかりの髪を少し乱しながら急いで待ち合わせ場所へ向かう。
待ち合わせ場所につくと、そこにはすでに秀の姿があり、夏の日差しを避けて駐輪所にいながら、清涼感ある炭酸飲料を飲んでいた。
「お、お待たせしました」
千香は少しの汗と髪型を気にしながら近寄ると、秀は左手に握っていたドリンクを手渡しすがそれは良く冷えており体内の血が少しだけ冷やされたように思える。
それにこの飲み物は最初に出会ったときのスポーツドリンクであり、彼女は少し喉が渇いていたので、受け取ると直ぐに一口飲みこんむと、涼んでいた秀は隣にきて「じゃあ、行くか!」と元気よく出発を促してくれた。
「すいません、待たせましたか?」
「いや、全然待ってないよ。証拠に、千香に渡したジュース、良く冷えてたでしょ? あれ買ったばかりだし」
「そうですか、なんかすみませんね」
「なんで謝るんだよ、そもそも電車で来ているなら時間に遅れるってのは、乗り過ごしたり、事故なんかがない限りは遅刻しないでしょ」
「それはそうなんですが、やっぱり待たせてるのって気を使いませんか?」
「だったら、次は電車がくるばっちりなタイミングで来るよ」
「あ…、 それだと飲み物買って待っててくれませんよね?」
「おいおい、なんだよその理由は」
まだまだ、これから暑くなっていく時間帯ではあるが、二人の笑顔はそれを寄せ付けないような輝きをみせていた。
目的地までは、バスで二十五分ほどの移動すると専用のバス停があり、海風の音が聞こえてくるほど海が近く、地中海をイメージしてデザインされた郊外型のアウトレットモールらしく、訪れる人も、少しウキウキと楽しそうにしている。
バスから降りた二人も、その雰囲気に触発されると千香が目を輝かせながら、お化け屋敷もよいが、最初に買い物もしたいと提案すると、彼は自分も欲しいものがあると言い、快く後をついていく。
「うほぉ! この靴めっちゃ可愛いです!」
「うぬぬぬぬ、なんですかこの際どい服…」
ころころと表情を変えながらお店を練り歩く彼女を眺めていると、秀も嬉しくなってくる。
彼が買いたい商品のお店は通り過ぎてしまっているが、それは帰りでもかまわないと思っている。
結局、何も買わずに施設に入っている冷凍ドーナッツを二人で食べるだけで十時を過ぎてしまったが、お昼前にチャレンジしてみようとなり、いよいよ目的のお化け屋敷に向かっていく。
「いよいよですね」
「なんか知らないけど緊張してきた」
「でも、さっきの冷凍ドーナツ美味しかったですね」
「確かに、アイスみたいな感覚で食べれてあれはあれで美味しい食べ物って理解できた」
「緊張とれました?」
「ドーナツの会話で緊張が解けると思っているなら、この場でデコピンいれる」
「ひどいですね! てかなんで緊張するんですか? もしかしてビビり?」
してやったりといった表情で、下から覗き込むように見ると、軽いデコピンが飛んできて、大げさに痛そうにする。
「正直に言えば、お化け的な恐怖も少しは怖いと思っているけど、それでも楽しみな感情が勝っているかな、一番緊張している理由としては、無事にクリアできて脱出できるのかが不安」
「確かに、不安ですね、レビューみると毎回出題される問題って違うみたいで、クイズ形式や脱出式と様々らしいですよ」
「まあ、目標としては、彼女の目の前で情けない恰好だけはしないようにしたいな」
「ぷ、なんですかそれ既に情けないですよ」
「おいおい、そんなに俺を傷つけるきかよ」
二人が目的地にたどり着く前に、既に行列ができており、最後尾の看板には「一時間待ち」と記載されており、この炎天下のなか帽子もかぶらずに案内をしている女性のスタッフや、この列に並んでいる人もバテているように見えた。
「ゲ、一時間待ちですって、どうしますか?」
「あれが正しいとすると、入れるのは十一時半頃って感じかな? だったら、並んでいるのが正解だと思う、これから人は更に増えるだろうし、ましてや午後の暑い時間帯は回避したい」
「そうですね、正論過ぎてまったく面白みないですよ」
「ここで、ボケてもしょうがないだろ、だったらさっさと並ぶべき」
「でも、ちょうどよかったです。 先輩に飲み物頂いてて」
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