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朝目覚めたらなんて、始めの頃は期待して眠りについた。そんな期待は虚しく、朝になると煩い家令が起こしにやってくる。 最近ではこれが当たり前になっていた。
学院に行けと言われ、時久が通う高等科に渋々通学しているが、華族の集まる学校らしく俺には到底馴染めなかった。時久の友人である有島義朗は、有島銀行の息子でこの時代の人にしては珍しい思考の持ち主だった。
「青木、今日もカフェーに行くのか?」
「それがどうした」
「彼処は財閥の如何わしい輩が集う他言無用の店だろ。 どうやって入った?」
小声で聞いてくる有島に笑って誤魔化した。実は、志賀にどんな方法を使ってもいいから受付の女を黙らせろと命じたのだ。志賀はかなり御立腹だったが。
「大丈夫だって、法に触れるようなことはやってないよ」
「子爵家だってバレどうするんだ」
「どうしようか」
「おまえな……」
「そうだ! 有島おまえも来いよ」
「いや、拙いだろ」
「面白いもん見せてやるからさ」
「おまえは相当…変わり者だ」
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