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朝起きれば華族・続
近守敦樹(志賀直樹)の陰謀。
____空は穏やかに快晴。
無数のプロペラ機が飛び、衝撃と熱風が次々と辺りを破壊していく。
先程の爆撃で身体が動かない。目の前で仲間達が無残に倒れていった。
私はそれを何も出来ず、ただ苦痛に叫ぶ仲間達の身体を摩ってやる事しか術がなかった。
遠くで銃撃の音が止めどなく続く____
辺りは灰色と瓦礫の焼け野原。
憤りと絶望の中で思い出すのは、あの時のあなたの事ばかり。何度も触れ合った身体の熱さえ忘れていない。
やっと会えたのに____
分かっている自分が招いた罰だと____
心で想う人がいながら、そのを想いを断ち切る為、私を想う人と家族になり子が産まれた。幸せなはずなのに、あの人を想う気持ちは増すばかりだった。
あの人の本当の名を呼びたい。同じ時代を一緒に生きたい。
「___時久様……」
いや、来世の名は……
「知久……」
サムハラと書かれた護守袋の中身を取り出した。小さい木製の玩具。私は、それを両手で包み込むと願った。
どうか来世へ____
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