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____身体が熱い
暫くなかったから大丈夫だと甘くみていた。 目を開けると夢でみた凝った造りの天井だった。部屋は淡い照明が点いていた。外は暗く道を走っていく俥の音が聞こえる。 俺は格子戸に駆け寄り勢いよく開けた。扉の前に志賀が立っていて思わず声が出そうになった。
「なんですか騒々しい」
志賀が俺の首筋に指先で触れた。驚いて身体を後ろに引いたが、思うように動かない。蹌踉けて後ろに倒れそうになるのを志賀が俺の身体を支えた。
「……大丈夫…だ」
「大丈夫ではないでしょう。ベッドに戻って下さい」
「一人で…歩け…る」
俺は志賀の腕を払い、一人で元いたベッドまで歩いた。
志賀はやはり目を引く。なのに無表情と俺に対する言葉遣いが気に食わない。なんだか子供扱いされているみたいでムカつく。
「うわ!」
足がもたついて転びそうになる。志賀が俺の腕を掴んで小さくため息を突いた。
「強情っ張り」
「……んだよ!」
俺は志賀を睨み付けた。志賀は涼しげな目をこちらに向けた。
「子供扱いするな」
「貴方はまだ子供でしょう」
何か言い返そうとしたが、身体の怠さと喉の痛みで断念した。
それより、この状況が本当なのか夢なのか……
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