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「まいどあり~」
ホテルを出て、パーキングでお金を渡した。
「また会えたら、よろしくね」
サヤさんは満面の笑みを浮かべた。
誰が会うか。お前の笑みにはなんの魅力もない。腐敗しきった心が明瞭に見える。
これがビジネスセックスか……。
イチモツだけは、しっかりと満足して……。
セックスに強い幻想を抱いていた童貞の頃の己が滑稽であり、羨ましくも感じた。
案外こんなもんか……。こんな感想とても思い浮かばないのだから……。
旧約聖書に出てくるオナンという登場人物を思い出した。
ユダはオナンにタマルとの子孫を作るように命じる。しかしオナンは抵抗を感じ子種をタマルと寝るたびに、地へと流してしまう。
そして神様はオナンを殺した。
僕がやっていることは彼以上に罪深い。神様は僕をお怒りだろうか……。
僕は生きている。だけど幸福の中で生きている、そんな感じはしない。
ただこれまで生きてきて僕はようやく気づいた。
セックスを求めすぎると感覚が麻痺してしまう。性欲を持つのはいいけど、ほどほどにね。
そう思った。確信した。
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