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イタリア料理店についた。心臓の律動が激しくなっている。クッキリ、ハッキリわかっちゃう。
開ける車のドアが重く感じた。私、心が重くなってきてるんだわ。気持ちにゆとりがない。
帰りたくなってきた……。もう、なんなの私……。
木造の建物で、外装は白いペンキで塗られているイタリア料理店。その建物の前には男の子がいた。
さっきスマートフォンを見たら、もう店に着いたというメッセージがきていたので、あの男の子で間違いないと思う。
スーツを着ている。仕事中なわけないと思う。あの子は就活生なのかしら……?
心が固くなっているけれど、私は声をかけなければならない。
何も始まらないのは勿体無いし、あの子に迷惑すぎる。
私は動揺を隠そうと努めて、その子に歩み寄って声をかけた。
「初めまして。私、約束した者です」
「あっ。初めまして」
男の子はお辞儀をします。良かったあ。緊張しているのは私だけではなかった。年上だけがそうだったら、恥ずかしすぎて穴があったら入りたくなっちゃう。
「じゃあ入ろうか」
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