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「若いなあ……。私は、さ……33」
胸を張って年齢を言えなかった……。しかも若いなあなんて、改めて自分が年をとったことを実感してしまう。
「あっ、そうだったんですね。リサさんって綺麗な人ですよね」
「え……?そうかな……」
この子いきなり、そんなこと言うんだ。ビックリ。
「綺麗ですよ。ビックリしました」
ビックリには、どんな意味が込められているんだろう……。30代だから、もっとオバサン臭い人が来ると思ったのかしら。
「嬉しい。ありがとう」
そんなことは聞けなかったので、そう言った。それに普通に心が暖まった。
「タクミ君は今日スーツなんだね」
最初に疑問に思ったことを私は口に出していた。
「実は会社の面接をした後だったんですよ」
「ああ、そうだったんだ。どんな会社で面接したの?」
「運送業です。フォークリフトの資格が活かせると思ったので」
「へー。フォーク持ってるんだ。学生じゃないよね?」
「学生じゃないですよ。転職活動しています」
「そうなんだね。採用されるといいね」
「そうですね。リサさんはどんなことをしているんですか?」
「私は……、パートの製造業だよ。結構筋肉使って大変」
「ああ、そうなんですね。自分も製造業で働いたことあるんですけど、肉体労働ばかりで腰とか痛くなりましたね」
「わかる。そうだよねー」
私は相槌を打つ。
「タクミ君は長野市出身なの?」
「いえ違いますよ。もっと北の方の小さな町です」
「あっ、そんな遠くから来たんだ……」
「そうですかね。高速使って一時間半くらいですよ」
私と会うために高速まで使ったんだ……。
「タクミ君は運転が好きなの?」
「好きですよ。首都高使って舞浜にも行ったことあります」
舞浜って夢の国がある場所だ。彼女と行ったのかな?
「え……。凄いなあ。私、高速苦手なの」
「あー、わかります。合流は慣れないと怖いですよね。自分も最初はそうでした」
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